「親のために挙げたい」。有形文化財の鎌倉 三河屋本店で、感謝をまっすぐに伝える挙式・祝言を行う意義

こんにちは。鎌倉 三河屋本店の山本です。

「両親には晴れ姿を見せて安心させたいけれど、自分たちが主役になるような華やかな式は気恥ずかしい」
「親が結婚式を挙げてほしいと言っているが、形式的なセレモニーには興味がなく、どうしていいかわからない」

ご結婚が決まったおふたりが、親御様のお気持ちを大切にしたいと思うからこそ、直面されるこうした葛藤。ご自身が納得し、親御様が喜んでもらえる形はどのようなものか、悩まれる方もいらっしゃいます。

そんなおふたりにご提案したいのは、「歴史的空間で人生の節目を迎える挙式」です。

それは、大切なご家族へ「ありがとう」を伝えるための時間。華美な空間や形式に縛られることなく、本当の意味での「けじめ」を形にします。

本日は、鎌倉 三河屋本店で挙げられる和装人前挙式「祝言」の意味と、歴史ある空間でそれを執り行う意義についてお話します。

なぜ今、「祝言」なのか。親御様と迎える節目の時間

そもそも結婚式とは、単なるイベントではなく、これまで育ててくれた両親に感謝し、結婚の誓いを立てることで、新たな家族や大切な人との絆をより深めていくためのものです。

その本質に立ち返ったときに、私たちが最もふさわしいと考えているのが「祝言(しゅうげん)」です。

祝言とは、約1000年前、平安時代より日本に受け継がれてきた結婚式のスタイルで、その歴史は神前式よりも古いとされています。

一般的な挙式では、神に誓いを立てる「儀式」が中心となりますが、祝言は「人」に向けて想いを伝える形です。新郎新婦様が向き合うのは、神でも祭壇でもなく、ご家族や大切な人たち。
親御様も列席者の目線で見守るだけでなく、「一緒に節目の時を迎える」形であるため、おふたりのお気持ちがまっすぐに伝わります。

では、具体的にどのように親御様との時間を紡いでいただけるのか、ご紹介します。

■挨拶の儀

まずは、親御様への感謝を伝える「挨拶の儀」から始まります。

かつての日本では、花嫁は嫁ぐ日の朝、親御様に三つ指をついて、今まで育ててもらった感謝を伝えたのち、新郎家の待つ嫁ぎ先へと向かっていたそうです。
三河屋本店では、挙式の前に新郎家・新婦家それぞれのお部屋にて、「今まで育ててくれてありがとう」という言葉を伝えていただきます。

面と向かってお伝えするのは、少し照れくさいと感じられるかもしれません。ですが、ご自身の言葉で想いを届ける時間は、一生に一度の節目だからこそ叶うもの。親子水入らずでお過ごしいただけるのは、結婚式の一日を通してもこのわずかな時だけです。
大切なご家族と心が通じ合い、これまで人生を歩めたことへの感謝を改めて実感することで、節目の時を迎える決意が芽生えます。

■入場・筥迫(はこせこ)の儀

新婦様は、お父様の先導、お母様のお手引きで、今まで一緒に過ごした時間を振り返りながら挙式会場へ入場していただきます。
新郎様の元へ向かう前に行われるのが、「筥迫の儀」です。お母様から筥迫を新婦様の胸元に贈っていただきます。

筥迫とは、花嫁が身に着ける和装小物の一つ。当時はおしろい、懐紙、紅などが入っており、嫁ぐ娘に母から贈る嫁入り道具でした。その筥迫をお母様から新婦様の胸元に贈っていただき、「幸せになりなさい」という気持ちを込めていただくシーンです。

■三献(さんこん)の儀、家族固めの盃

日本人にとって命ともいわれるお米から作られた、お酒を酌み交わす「三献の儀」。神聖なお酒を、共に体に入れることを通し、夫婦になる決意を表しています。
三つの盃は過去、現在、未来を意味しており、おふたりが出会う前も含む全ての過去を受け入れ、現在同じ場所に立って同じ景色を見ていることを実感します。

最後にご家族揃ってお酒を口にする時間は、これから先どんなことがあっても支え合っていくというおふたりの覚悟をともに噛みしめる、とても厳かな時間です。

■三礼の儀

「礼に始まり礼で結ぶ」という武道の精神にも通ずる「三礼の儀」。新郎家、新婦家、ご参列いただいた皆様へ、三度のお辞儀を通して感謝を伝える時間です。

おふたりからのお気持ちは、ご家族へのお手紙を司会が代読し、お伝えします。
これまで支えてくれたことへの感謝、伝えたかったけれどなかなか言えなかった想い、そしてこれからの決意――凛とした空気の中で、おふたりのまっすぐなお気持ちがそこに居るすべての人々に伝わり、心を熱くします。

 

歴史的空間で挙げる意義――格式高き本物の舞台「石の蔵」

そんな奥ゆかしい祝言を執り行う場所は、かつては酒蔵だった「石の蔵」。100年の歴史を持つ国登録有形文化財です。

建造当時の石や木材をそのまま活かし、厳かさと温もりが共存する空間。長い年月をかけて育まれた本物の重厚感と、静謐な空気に満ちています。
飾り立てられた空間にはない、息を呑むような洗練さが、おふたりが交わす誓いに「格」を与えてくれます。

それは身も心も引き締まる、まさに「けじめ」をつけるためにふさわしい品格。人生の節目を迎える気持ちが整い、祝言の一つひとつの所作におふたりの決意が宿ります。どのシーンも非常に美しく、親御様の心にも深く刻まれるものに。

中央に敷かれている絨毯にも、おふたりの門出への願いが込められています。入口から続く雲のような模様は、これまでたくさんの人との出会いや様々な経験を経て、夫婦となっていくおふたりの人生を表現。その先には、一生添い遂げると言われる「つがいの鶴」が描かれています。未来へ羽ばたく鶴のように、末永くともにいられますように――そんな願いを胸に今日という善き日を噛みしめる、特別な歩みとなることでしょう。

未来への願いを込めた着物を纏う「おもてなし」

最後に、祝言で新郎新婦様にお召しいただく「和装」についてお話します。

結婚式というと、タキシードにウェディングドレスといった衣装を思い浮かべる方が多いかと思います。
もちろん洋装も特別な衣装ではありますが、和装はさまざまな意味が込められており、着物を纏うこと自体が、親御様へのメッセージにもなるのです。

例えば、最も格式高い日本の婚礼衣裳である白無垢には「嫁ぎ先の家風に染まる」という意味が込められており、花嫁様の清廉潔白な決意を表します。

また、同じく格式高く華やかな色打掛には、吉祥文様と呼ばれる鶴や松竹梅、御所車、牡丹など、さまざまな文様が描かれているのも特徴です。その一つひとつには、長寿や繁栄、夫婦円満、豊かな未来への願いが込められています。

かつて誰かが大切な人の幸せを祈って紡いだ文様を、現代の挙式で纏う——それは、親御様への「おもてなし」でもあるのです。

和装は、ホテルや神社での神前式に限ったものではありません。歴史が刻まれた佇まいの中で、伝統的な和の装いが美しく映え、心に響く晴れ姿に。そんな姿を見せることも、親孝行のひとつの形です。

親へ「誇りと安心」を贈る、おふたりのけじめの形

親御様にとって、おふたりの結婚式は「子育ての卒業式」でもあります。
生まれた日から今日まで、慈しみ育ててきた日々を振り返り、我が子の晴れ姿を見届ける。新郎新婦様はもちろん、親御様にとっても大きな人生の節目なのです。

その節目を、格式高い空間で迎え、伝統的な挙式により心を交わす。本質的で豊かな時間を通じて、おふたりが人生のけじめをつけられるとともに、親御様は「ここまで育て上げてきた」という誇りと安心感を得られるはずです。

私たちは、「どんな式にしたいか?」を考える前に「誰に、何を、伝えたいのか」という問いを大切にしています。
ぜひ、親御様への想いをお聞かせください。「結婚式を挙げてよかった」と、心に刻まれる一日になるよう、お手伝いさせていただきます。