【youtube動画を公開】国の有形文化財の再生プロジェクト – 工事中の三河屋本店を大公開

こんにちは、鎌倉 三河屋本店の鈴木です。
YouTubeにて「8年に渡る再生プロジェクト 2026年5月グランドオープン 工事中の三河屋本店を大公開!」を公開いたしました。
萬屋本店を運営する株式会社Daiyuが、明治創業の老舗酒舗「鎌倉 三河屋本店」をお預かりし、文化財としてどのように再生していくのかを、貴重な工事中の様子と合わせてご紹介します。
酒屋さんの三河屋本店にお越しいただいていた方や、初めて内部をご覧になられる方にとっても、素晴らしい三河屋本店の雰囲気やプロジェクトを感じていただけるかと思います。
完成まで楽しみにお待ちいただけたらと思っています。

 

動画の一部をご紹介

鎌倉 三河屋本店は、明治33年(1900年)創業。初代・竹内福蔵氏がこの地に酒舗を開き、昭和2年(1927年)に現在の建物が建てられました。
梁は幅約85cm、千葉・小湊から大八車で運ばれた貴重な木材。関東大震災後の資材不足のなかでこれだけの木材を確保できたことは、当時の職人の技と情熱を物語ります。

玄関に掲げられた「三河屋」の看板は、建長寺元館長・菅原時保氏の直筆。
創業者・福蔵氏との親交を記念して贈られたもので、今も当時のまま掲げられています。

2004年に鎌倉市景観重要建築物に指定され、2006年には国の登録有形文化財として登録。
鶴岡八幡宮から徒歩2分、鎌倉の中心・若宮大路に残る貴重な文化財です。

 

かつての酒屋としての面影

建物は総けやき造りで、「桜正宗」「大黒正宗」「白雪」などの銘酒を扱う酒屋でした。
徳利にお酒を詰めて販売し、鶴岡八幡宮や建長寺、小説家 大佛次郎邸にも配達していたと伝わります。

店内には、当時の金庫や販売許可証が今も残り、老舗酒屋の歴史が息づいています。
その後、萬屋本店とのご縁から「白雪」を扱うようになり、時代ごとに日本各地の銘酒を仕入れてきました。

 

日本家屋の趣をそのままに

母屋は、前室と本間、離れ、庭を備えた伝統的な日本家屋です。
床の間や襖、欄間には鎌倉彫が施されており、改修の際には職人が一つひとつ丁寧に解体・保管。
位置や順番を記録して、元の姿に戻すよう再構築しています。

耐震補強や防火塗装など、文化財を守るための現代技術も取り入れ、
「文化的価値」と「安全性」を両立させています。

 

二階と庭 ― 当時の暮らしを伝える空間

二階は、かつて御用聞きの方が寝泊まりしていた場所。
商人が客を見下ろさぬようよう、窓を設けないという商家の哲学が残ります。

梁が交差する屋根裏には「上棟 昭和二年六月二日 竹内福蔵」と墨書きされ、
創業者のこの建物に対するこだわりを感じることができます。

庭には、昔からの水鉢と井戸が残り、井戸から水をくみ上げ使う予定です。
裏手には「仙路小路(せんじこうじ)」と呼ばれる小道があり、鎌倉らしい情緒ある景観が広がります。

 

蔵 ― 祝言の舞台として

敷地内の独立した蔵も、国の登録有形文化財です。
天竜檜の新月伐採材や伝統工法「仕口」「小舞」「土壁」により丁寧に改修。

この蔵では、古くからの結婚式「祝言」を行うことができるレストランウエディングの空間として、
新たな命が吹き込まれています。