こんにちは、鎌倉 三河屋本店の鈴木です。
先日ご紹介しました、発掘調査が無事に終了しました。
貴重な出土品が出たとのことで、想定していた期間よりも少し長くかかりましたが、
ここ鎌倉 三河屋本店が史跡としても重要な場所だということを感じることができました。
工事進捗~発掘調査~ 北条時房・顕時邸跡の調査
そして、現在、職人さんたちにより蔵の補修工事が進んでいます。
作業工程に立ち会わせていただき、日本の熟練の職人さんは、ここまですごいのか!!と感動しました。
本日はその様子をご紹介させていただきます。
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鎌倉 三河屋本店の工事工程
以下の順を追って、建物の保存活用工事を行っています。
1.生かし取り解体(手ばらし解体)
2.基礎を作るために地面を掘る
3.発掘調査(北条時房・顕時邸跡のため)
4.傷んだ部分の補修
5.基礎作りと構造補強
6.内装工事(旧部材を再利用するための調整含む)
今回は「4.傷んだ部分の補修」の中で、蔵の工事の様子をお届けします。
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古くから残る鎌倉 三河屋本店の蔵は、築約100年を経て、傷みが目立つ部分がありました。
蔵を補修する際、大切なのは元の木材をできる限り生かすこと。
職人さんたちは、慎重に劣化した部分だけを取り除き、新しい部材を繋ぎ合わせています。
既存の木材に負けない素材集め
この補修作業に使われるのが、国内最高級の木材「天竜檜」です。
天竜檜とは、高い強度と美しい木目を持ち、特に構造材や仕上げ材として重宝されています。
ただし、天竜檜でも品質には差があるようで、
職人さん自らが既存の木材を見極め、それに負けない素材を厳選して仕入れてくれました。
熟練の職人さん独自の仕入れ方法のようです。


新月伐採と葉枯らし乾燥
職人さんが選んだのは、特別な方法の「新月伐採」の天竜檜。
新月に伐採された木は虫害に強く、さらに「葉枯らし乾燥」という伝統技法を用いることで、
割れや反りが少なく、美しい色艶になるそうです。
そんな最良の素材を、元の蔵の構造や状態を丁寧に読み解きながら、
職人さんは精巧に繋ぎ合わせていきます。
天竜檜とは
静岡県浜松市天竜区の天竜美林で育った良質な木材です。高い強度と美しい木目を持ち、特に構造材や仕上げ材として重宝されています
葉枯らし乾燥とは、
伐採した木を枝葉をつけたまま、一定期間山に寝かせて乾燥させる天然乾燥の一種です。葉を通じて水分を飛ばすことで、木材の割れや反りを抑制し、色艶を良くする効果があります。また、乾燥中にフェノール成分が増加し、防腐性も向上すると言われています

伝統的な接合方法の仕口(しぐち)
「仕口(しぐち)」という伝統的な接合方法を使い、場所や用途に合わせて、力のかかり方を考えて組み合わせます。
職人さんは、その場その場に最適な仕口を、経験と感覚で決めていきます。
どの方向から人が通るのかなども考慮して、木材の見せ方も検討。
古い建物に寄り添い、既存を超える仕上がりを目指そうとされている職人さんの熱意を感じました。


日本の本来の考え方
今の時代、傷んだら新しく作り直すのが一般的ですが、本来の日本の建築はそうではないと感じます。
手を加えて、受け継ぎながら生かしていくこと。
大切にできるための技術を磨き、その技術をしっかり受け継いできた。
それこそが日本古来の持続可能な社会のあり方であり、私たちが大切にしたい文化であることも感じました。
今回の鎌倉 三河屋本店プロジェクトにおいて、このような職人さんが手をかけてくださることが大変ありがたく、
それだけの価値を有しているこの建物をしっかり後世に繋げていきたいと思います。
間もなく、グランドオープン日をご案内できるかと思います。
結婚式のご予約については、グランドオープン日が決定後にご予約開始になりますので、しっかり話をお聞きされたい方は事前にご見学にお越しください。




<<鎌倉 三河屋本店プロジェクト>>
設計監理:アラキ+ササキアーキテクツ
構造設計:高橋建築工房、北構造設計事務所、oha
設備設計:ZO設計室
施行:斉藤建設
撮影協力:添田康平