こんにちは、鎌倉 三河屋本店の水間です。
本日は、鎌倉 三河屋本店の立ち上げに向けて、
「纏うことで「人となり」を表す格好いい一着」を求めて全国を巡った着物行脚の様子をご紹介いたします。
着物行脚のきっかけは、“感動する着物に出会えなかった”から
着物の買い付けといえば、年に2回開催される京都や東京の展示会が主流です。
私たちが運営する鎌倉長谷にある萬屋本店がオープンした当初、私たちも展示会に足を運びました。
何千着もの着物が並ぶ華やかな空間には、数々の衣装店が出店しており、流行の色や柄で仕立てられた着物が展示されていました。
けれど、私たちの心が震えるような着物には出会えなかったのです。
その背景には、着物業界もまたファッションビジネスの一部であるという事情があるようです。
流行の色や柄、扱いやすさ、レンタル回数に耐えられる耐久性など、“売れること”を優先に作られた着物が並ぶ世界では、繊細で回転率が低く、手間のかかる本物の着物は淘汰されてしまう。
そもそも作られてすらいない現実を知りました。
それならば、鎌倉 三河屋本店は私たち自身の目で探しに行こうと考えたのが、今回の着物行脚のはじまりです。
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専属提携先である渕上ファインズさんは、もともと呉服屋として創業された会社。
豊富な着物を扱っており、その中には高い技術で仕立てられながらも、取り扱いの難しさゆえに眠っている着物があることを伺いました。
陽の目を浴びていないが素晴らしい着物に出会い、花嫁衣装として蘇らせる。
そこに意味と使命を感じながら、鹿児島、熊本、福岡の3店舗を回りました。来週には大阪、京都、銀座へも向かう予定です。
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今ではお客様にご提案していなく、大切に保管されていた着物を見せていただきました
惹かれるのは「売れる」ではなく「本物」であること
今回の旅で感じたのは、やはり“売れるかどうかではなく、本物であるかどうか”を基準に選びたいということでした。流行に合わせて作られたと感じる着物は、どれだけ鮮やかであっても心に響かなかったのです。
私たちの感性を震わせた着物たちは、作り手の技術、想い、信念が込められた一着でした。
見るだけで、そこに込められた物語がにじみ出てくるようでした。
一目惚れの色打掛
「大椿流水(だいちんりゅうすい)」
今回の旅の中で、大感動の出会いだったのがこの色打掛「大椿流水」。
広げた瞬間、一枚の絵画のように広がる総絵羽の色打掛。4枚の反物がひとつの大きな柄になるように仕立てられた、贅沢な仕立ての色打掛です。
その格調と美しさに、思わず鳥肌が立つほど感動しました。
素晴らしい出会いに感動している代表宮腰と提携先衣装店の事業部長
江戸時代の華やかな着物デザインを現代に甦らせ、立体感ある特殊な織物「善王寺織」を用いて、贅沢で品格のある、一枚の絵画のような婚礼衣装に仕立てたのが「大椿流水」の総絵羽の色打掛です。
買い付けの考え方も、価値観が問われる
バイヤーと呼ばれるMDの方にいろいろな買い付けの背景を教えてもらいました。
私たちが運営する鎌倉長谷にある萬屋本店では、
「衣装の着数は増やさなくていいから本当に良い着物・ウェディングドレスを一緒に買いそろえる」
「人気商品は常によい状態で着ていただけるように必要に応じてリピート購入する」
に予算を使ってもらっています。
そのため、必要がなければ一年に一着も増やさないこともあります。
それに対し他社では「年間の予算を使い切る」ことを前提とした仕入れが多いと聞きました。
売れていなくても新たに仕入れ、陽の目を見ないままタンスにしまわれ、最終的に傷んでしまい店頭に出せなくなることもあるそうです。
そんな話を聞いたとき、鎌倉 三河屋本店が大切にしている「本来のあるべき姿に還していく」という考えが、一つ一つを大切にするという日本本来の考え方であり、これからの社会に必要なことではないかと感じました。
この行脚で選ばれた色打掛たち
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大感動のもう一着。色打掛「御所車」。平安時代の宮中の優美な雰囲気を伝える柄を使い、友禅染めの技法で丁寧に模様をつけたあと、その上から手作業による繊細な刺繍を加えることで、華やかで美しい花嫁衣装に仕上げています。
纏うことで
「人となり」を表す格好いい一着
今回ご紹介できなかった中にも、白無垢、色打掛、引振袖だけでなく、掛下や小物、帯なども素晴らしい出会いがたくさんありました。
ぜひ鎌倉 三河屋本店の衣装試着のときには、そのような着物たちとの出会いを楽しみにしていただければ幸いです。
ウェディングドレスについては、海外デザイナードレスと共にオリジナルのウェディングドレスも開発していく予定です。
そちらも楽しみにお待ちいただけたら幸いです。