「自分たちらしい結婚式って、なんだろう?」
神前式、教会式、人前式… どれも聞いたことはあるけれど、「これだ」と思える結婚式がわからない―― そのように迷っている新郎新婦様もいらっしゃるのではないでしょうか。
三河屋本店の場合、ご相談に来られるお客様の挙式スタイルの希望第一位は『神前式』、第二位は『わからないので相談したい』というご回答です。
なぜ神前式をご希望されるのか理由をお伺いすると、ほとんどのお客様が『和装で式をしたいから』というご理由です。
他にも『人前式だとカジュアル過ぎる』『キリスト教式はキリスト教徒ではないのに違和感がある』『これならいいかというどちらかというと消去法です』このようなご回答をいただきます。
結婚式のかたちは、一つではありません。
「どんな式にしたいか?」を考える前に、「誰に、何を、伝えたいのか」という問いを三河屋本店では大切にしています。
その想いにまっすぐ向き合った先に行きついた、私たちがお届けしたい挙式のスタイルが“祝言(しゅうげん)”です。
今日は、三河屋本店がご提案する“心でつながる挙式”「祝言」をご紹介します。
祝言とは――想いを言葉にして届ける、古き良き日本の婚礼
祝言とは、約1000年前、平安時代から続く日本で一番古いスタイルの結婚式です。
日本にキリスト教式や神前式が定着する前、結婚式は嫁ぎ先の家で行われるものでした。
新婦は生まれた家で花嫁としての支度を整え、新郎の自宅へ向かいます。
その場に親族や友人を集めて挙式を行った後は、飲めや唄うたえやの披露の宴が三日三晩つづきます。
宗教色はなく、そこにあるのは人と人との絆。家と家が結ばれ、親が子を送り出し、新たな家族の誕生を皆で祝う、あたたかな空気が流れる時間です。
三河屋本店で行う祝言も、まさにその原点に立ち返ったスタイル。
形式にとらわれず、大切な方々との絆が深まる儀式、節目としての役割を担っています。
【補足】神前式とキリスト教式の日本での歴史
①神前結婚式の始まりは、1900年(明治33 年)当時の皇太子殿下(後の大正天皇)の御結婚の礼が、宮中で初めて皇居内の賢所(かしこどころ)のご神前で行われたのが最初と言われています。この慶事を記念して、日比谷大神宮(現・東京大神宮)は、一般の人々に向けた神前結婚式を行い、やがて全国への神社へと普及していきました。
また、神前式の場合は外部の神社で行われる為、神社と披露宴場所との移動が伴います。挙式場所が屋外の場合、天候の影響をダイレクトに受ける、空調設備がない、親族以外は参列できない、外部(式場)からの衣装やヘアメイクの持込ができないため双方で手配する必要がある。等、制限がある神社がほとんどなので、事前に神社に問合せをして、自身の希望が本当に叶うのか?確認することが大切です。
②キリスト教式が日本で定着したのは、ダイアナ元妃の結婚式がキッカケだと言われています。もちろんそれ以前にキリスト教式はありましたが、キリスト教を信仰されている方が行う限定的な儀式でした。しかしダイアナ元妃の結婚式が世界中でテレビ放送されたことをきっかけに日本中の花嫁が憧れを持ち、キリスト教徒でなくとも結婚式場ではキリスト教式が行われるようになりました。今でも由緒ある教会では、教会に通われている方以外の挙式は執り行わない所がほとんどです。特にキリスト教を信仰していない新郎新婦様、参列者様、年配のご親族様等は、讃美歌等の形式な儀式に違和感を持たれる方もいらっしゃいます。
このように由来を知ると、ご自身の中で発見が合ったり、違和感を感じられたりするのではないでしょうか。そのような 『問い』を通じて、ご自身にしっくりくる形を探していくお手伝いが出来れば幸いです。
一般的な挙式とは、ここが違います
一般的な挙式では、神に誓いを立てる「儀式」が中心になります。
列席者はゲストという立場で座り、新郎新婦様の姿を見守るという構図が一般的です。
一方、祝言は「人」に向けて想いを伝えるかたちです。
新郎新婦様が向き合うのは、神でも祭壇でもなく、「家族」「親族」「大切な人たち」。
両家の親御様へ感謝の言葉を伝えたり、祖父母に手紙を読んだり、集まった全員に感謝やおふたりの想いを伝えられる温かなシーンが自然と生まれます。
祝言の流れと、込められた意味
※以下のコラムで使用している写真は姉妹店で結婚式を行われたお客様の実例写真をお借りしています。三河屋本店の写真ではございませんので予めご了承ください。
①挨拶の儀
三河屋本店の祝言は、親御様への感謝を伝える「挨拶の儀」からスタートします。
どんな人も生んでくれた親がいなければこの世に存在しません。
挙式前に、親御様へここまで育ててもらった感謝の気持ちを伝えるのが「挨拶の儀」です。
日本では古くから、花嫁は嫁ぐ日の朝、親御様に三つ指をついて、今まで育ててもらった感謝を伝えたのち、新郎家の待つ嫁ぎ先へと向かっていたそうです。
親子水入らずの場で、「今まで育ててくれてありがとう」という言葉を伝えていただきます。
②入場・筥迫(はこせこ)の儀
祝言では、お父様の先導、お母様のお手引きで、今まで一緒に過ごした時間を振り返りながら挙式会場へ入場していただきます。
入場後、お母様から筥迫を新婦様の胸元に贈っていただくのが「筥迫の儀」です。
筥迫とは、花嫁が身に着ける和装小物の一つ。当時はおしろい、懐紙、紅など、身支度を整える化粧道具を入れていたと言われ、嫁ぐ娘に母から贈る、嫁入り道具でした。
お母様から新婦様へ、「幸せになりなさい」という気持ちを込めていただくシーンです。
③三献(さんこん)の儀
日本人にとって命ともいわれるお米から作られた、お酒を酌み交わす「三献の儀」。
神聖なお酒を、共に体に入れることを通し、夫婦になる決意を表しています。
三つの盃は過去、現在、未来を意味します。
おふたりが出会ってからはもちろん、出会う前も含む全ての過去を受け入れ、現在同じ場所に立って同じ景色を見ていることを実感する時間です。
そして、これから先、未来にどんなことがあっても支え合っていく覚悟を持って、お酒を口にします。
④三礼の儀
「礼に始まり礼で結ぶ。」という武道の精神にも通ずる「三礼の儀」。
三度の礼、つまりお辞儀を通し、ご列席の皆様に感謝の気持ちを伝えます。
新郎家、新婦家、ご参列いただいた皆様へ。
凛とした空気の中、これまで自分たちを支えてくれたことへの感謝、いまここに夫婦となる宣言という新郎新婦様の込められた気持ちが、そこに居るすべての人々に伝わり、心を熱くします。
「想いを伝える」その瞬間に、結婚式の意味が宿る
祝言は、大切な人への想いを、きちんと“言葉”で届けたいと願うおふたりに寄り添う挙式のひとつです。
派手な演出はありませんが、これまでの感謝とこれからの決意をまっすぐに伝える。
そんな想いを交わし合う時間こそが、結婚式の原点ではないでしょうか。
三河屋本店の姉妹店で祝言を挙げた新郎新婦様は、人生の節目となった時間を、このように振り返っていらっしゃいます。
・「三礼の儀」にて、事前に考えた両親・参列者の方へのメッセージを司会者さんに読み上げていただきました。人に読んでもらうからこそ、自分では照れくさくて伝えられないような言葉も素直に伝えることができました。メッセージを聞いて涙ぐむ新婦母を見て感情が高ぶってしまい、気が付けば私も涙が出ていました。
・祝言で、母から最後の身支度として筥迫を挿してもらう場面も印象的でした。母が、幼少期の私に対する声色と同じトーンで、“ばっちり”と声をかけ、送り出してくれました。未だに私を小さい子どもと思っているような母の微笑みに、少し呆れながらも嬉しくて、涙が止まらなくなりました。
・挙式での新婦父と新郎の握手の場面で、握った新婦父の手の力がとても強く、その際「頼みます。」という突如の言葉に、咄嗟に「任せてください」と返答したのをよく覚えています。義父の握った手の強さ、参列した方々の前で誓ったことは忘れられない思い出であり、美しい白無垢と紋付袴で日本人らしい時間を過ごせてとてもよかったと思っています。
三河屋本店は、心から納得できる結婚式を一緒に見つける場所でありたいと願っています。
あなたが本当に気持ちを伝えたい人はどなたですか?
まずは、挙式のこと、ご家族のこと、そしておふたりの想いをお聞かせください。