こんにちは、鎌倉 三河屋本店の鈴木です。
2026年春のグランドオープンに向けて、本日は、3月頃に行われていました建物の解体についてお伝えしたく、ブログを書かせていただきました。
全体の工事工程
以下の順を追って、建物の保存活用を計画しています。
1.生かし取り解体(手ばらし解体)
2.基礎を作るために地面を掘る
3.発掘調査(北条時房・顕時邸跡のため)
4.傷んだ部分の補修
5.基礎作りと構造補強
6.内装工事(旧部材を再利用するための調整含む)
「生かし取り解体」という方法
鎌倉 三河屋本店では、「生かし取り解体」という特別な手法で工事を進めています。
これは一般的な解体とは異なり、建物を壊すのではなく、ひとつひとつの部材を丁寧に手作業で外していく方法です。
今回の解体作業は「解体を専門に行う方」ではなく、大工が担当しています。
なぜ大工なのか?
それは、「つくる工程を逆にたどる」必要があるからです。
建築当時の大工の考えや技術を読み取りながら、まるで時間を遡るような作業を進めています。

木造伝統構法という工法
柱や梁、貫などの接合部は、釘やビスではなく「仕口」と呼ばれる木の継ぎ手によって組まれています。
そのため、壊さずに外すには、どの順番でどう組まれていたかを読み解く必要があります。
使われている木材のクセや経年変化もあるため、力のかけ方ひとつで割れてしまうこともあるそうです。
そのため、その工法を熟知している大工が担ってくれています。

手仕事が未来をつくる
今回の工程では、構造補強や傷んだ部分の補修ができるように内装や柱や梁の一部も解体します。
襖や障子、床の間、欄間など、建物を彩る意匠も取り外します。
取り外された部材はひとつずつ記名をし、接合部は傷がつかないように養生し、蔵で一時保管。
構造補強を施したのち、再び同じ大工の手で元の場所へと組み直されます。
部材を適切な位置に戻せるように記号を柱などに記しています
部材一つ一つを丁寧に保管できるように養生をしています
接合面は傷つかないように丁寧に養生を行っていました
蔵に保管している様子。目立たないところに記号を記入し、整理しています。
改めて、このような文化財は、大工さんたちの熟練の技術がなければ残していくことができないのだと感じさせていただきました。
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設計監理:アラキ+ササキアーキテクツ
構造設計:高橋建築工房、北構造設計事務所、oha
設備設計:ZO設計室
施行:斉藤建設